2022/2/18 かわずの写真講座〔マクロ撮影〕
かわずです。
超望遠で飛行機や鳥、はたまた宇宙を撮影するのはとても楽しいですよね。
その真逆に近いものを大きくきれいに撮影することもまた楽しいのです。
お花、小物、虫、、、ほかには何があるかなぁ。
今回は近くのものを撮影することが得意なマクロレンズのお話。
かわずは2月23日はお休みで、たにしはお仕事でした。
暇すぎたかわずはマクロレンズで"雪の結晶"を撮影しようと小雪の舞う駐車場でカメラを構えていました。
寒いのに大きなカメラを持って自分の車の周りをうろうろ。どう見ても変質者です。
車に黒い部品がついているので、そこにくっついた白い雪の中から結晶を探そうという作戦です。そして撮影できた写真がこちら
何枚も何枚も撮影しましたが、一番それらしい写真はこの1枚です。
もっと撮影したかったのですが寒さに負けてしまいました。
さて簡単な技術解説を行います
◆マクロレンズとは
マクロレンズとは近くのものを大きく正しく撮影することのできるレンズです。
大きく撮影するだけなら、望遠レンズをリバースリングアダプターを取り付けて前後逆にカメラに取り付けることにより撮影ができます。または、中間リングをレンズとボディの間に噛ませることにより大きく撮影ができます。
マクロレンズの大きな違いは大きくさらに"正しく"撮影できるレンズだということです。絞りボケの少なさや諸々の収差の少なさが一般のレンズよりも優れているということです。私が今回使用したのは二代目タムキューことTAMRON SP 90mm F2.5 Adaptall II 52BBというレンズです。オールドレンズの分類になってしまい、もしかしたら現行の普通のレンズよりも描写は甘いかもしれません。が、やはりマクロの名前に恥じず合焦部分の描写は繊細かつシャープな印象です。
一般のレンズは"最短撮影距離"という指標があります。これはセンサー(フィルム)面から被写体までどれくらいの距離まで近づくことができるかという指標です。
マクロレンズでも同じ指標で表すことができますが、これとは別に"倍数表示"と"ワーキングディスタンス"という指標があります。
倍数表示とは被写体の実寸の何倍までセンサー(フィルム)上に投影できるかという指標です。たとえば1円玉は直径20mmです。倍数が1:1ならばセンサー(フィルム)上にも20mmで合焦投影され撮影ができます。これを当倍までよれるレンズと表現します。倍数が1:2の場合は10mmの大きさでセンサー(フィルム)上に合焦投影されます。
つぎにワーキングディスタンスという指標ですが、これはレンズ最前玉外側と被写体との最短撮影距離をいいます。一般レンズの最短撮影距離とは違うので注意が必要です。とはいえ、普通にマクロレンズ選びをする場合は倍数表示を気にすればよいと思います。
◆マクロ撮影の撮影の仕方
マクロレンズの最短撮影距離での被写界深度は紙のように薄いです。
本来なら三脚に固定してレリーズを使用して手振れをなくしたほうがジャスピンな写真を撮影できます。ピントに自信がないときは思いっきり絞って撮影をしましょう。ただし、背景のボケや高感度撮影によるノイズが気になる場合はお勧めしません。思い切り絞るというのも、f16やf22まで絞ってもほとんどのマクロレンズでは描写の低下が少なく作品としても耐えうるはずです。逆に開放でとりたい場合は合焦したらば、10枚程度連射で撮影しましょう。どれか1枚くらいはピントのあった写真が撮影できているはずです。
◆雪の結晶の苦悩
レンズを通った光はセンサー(フィルム)平面上に結像します。
理論上はフィルムの乳剤分子面、センサーの素子面に結像します。それより手前や奥に結像する場合は全てピンボケです。実際にはセンサー(フィルム)の分解能や画面や写真、人間の分解能でわずかにピントがあっていなくてもピントが合っていると判断できてしまいます。雪の結晶は平面状に広がっています。雪の結晶にも厚みはありますが、結晶そのものを撮影したい場合は結晶の正面とセンサー(フィルム)面が並行である必要があります。そうでなければ結晶が片ボケとなってしまいます。
さらに、よい形の結晶にめぐり合えることも少なく、ようやく見つけても構えている間に溶けてしまうこともしばしば。
もっといえば、雪の結晶は白と透明な状態を併せ持っています。白いものを撮影する際はより色の濃い(黒がよい)背景色の元で撮影したほうが形を際立たせることができます。
まとめると、寒さに耐え、形のよい結晶を背景が濃い色になる場所かつ結晶とセンサーが平行に場所から溶ける前に撮影する。という地味に大変な撮影となります。
ああ、雪印のマークのような結晶写真が撮影したい。と寒さに震えるかわずでしたとさ。