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2022/2/17 飛行教導群の墜落事故について思うこと

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 飛行教導群の墜落事故について思うこと

 


ひさしぶりです。

かわずです。最近仕事が忙しくてブログの更新もおろそかになっていました。

先日、飛行教導群のF-15DJ 32-8083機が離陸直後に
墜落し、パイロットが二人とも死亡するという事故が発生しました。

かわずの前のお仕事は航空機の生産に直接かかわるお仕事でした。
飛ぶものは常に落下のリスクを持っているので十分に確認することが
"飛行安全"につながり、"安全は全てに優先する"ということを何度も教育されました。

今回の事故の原因はわからず、憶測がたくさん流れていますが、
時間が経てば正確な原因がわかるでしょう。
経験としてを生かすことができれば無駄にはならないと思います。

f:id:kawazutanishi:20220217012505j:plain墜落した32-8083

 

◆ここで日本の戦闘機の製造について浅く書こうと思います
日本には現在、何種類かの戦闘機が存在します
・日本主導のアメリカとの共同開発のF-2支援戦闘機
アメリカのライセンス生産で製造されたF-15J要撃戦闘機
アメリカのライセンス生産の最新鋭ステルス戦闘機F-35

それぞれはほぼ同じ工場で製造され、試験飛行を経て自衛隊へ納入されます。
飛行機は民間機、小型機、戦闘機など形に違いはありますがほとんど同じような構造を
していて、製造手法もほとんど同じです。
まず、部品を製造します。次に部品同士を結合、組み立てを行い小さな構造体を造ります。
次に小さな構造体を組み合わせて中くらいの構造体にします。次に中くらいの構造体を
組み立てて機体の大きさに組み上げます。最後に艤装と塗装を行い完成します。

飛行機は決められた飛行時間が経過すると、定期点検・修理を行う必要が出てきます。
通称IRANと呼ばれ、製造工場などで行われます。F-15三菱重工が製造していますので
県営名古屋空港に隣接する小牧南工場で行われます。
この際、機体の塗装を剥がし、表面状態の確認や部品交換も行われます。
工場から出てくる機体は新品同様の綺麗さで三菱社員のパイロットが飛行試験を行い、
合格したら再び自衛隊に納入されるという流れになっております。

自衛隊の機体が長く状態がよいのはこの定期整備をきちんと行っているからだと思います。
昨年退役したF-4EJ改は1971年に納入された機体で現役運用の長さを考えても
物持ちがよいと思います。

◆機付長について
戦闘機のコックピット横に漢字やローマ字で名前が書いてあるのを見たことがありませんか?
あれは、パイロットの名前ではないのです。(米軍はパイロットの名前が書いてある)
日本の場合は機付長の名前が書いてあります。機付長とは自衛隊で機体の整備を受け持つ担当長のことです。
定期修理はメーカーである三菱重工で行いますが、日常の点検や整備は自衛隊の整備部隊で行います。
機体ごとに担当班があり、機付長はそのリーダーです。
ということは、パイロットは同じ機種であればどれにでも搭乗できるということです。
ですので、昨日乗っていた機体を今日乗っている機体は違うことがあるということです。

◆墜落した32-8083機について
Webサイトで調べてみました。
32-8083という番号からでも結構わかってきます
左上から
"3"は"1993年"製造(製造1桁年を記載)1983年の可能性があるかもしれません。
"2"は"F-15JまたはF-15DJ"(機種固有の番号)ちなみに"1"は"T-400"
"8"は"戦闘機"(用途識別番号)
"083"は"83番目に製造された機体"(製造シリアルナンバー)

◆飛行教導群について
飛行教導群は航空自衛隊パイロットの中でも特にエリートの部隊です。
他の戦闘機パイロットの育成を目的とし、現役のパイロットに戦術を教える
実践教官の部隊です。教導群は志願制ではなく、ヘッドハンティングにより選抜されます。
特徴的な塗装がされた機体はファンからも人気で、誰が見ても一目で違いがわかる機体です。
今回墜落した期待は虎柄で特に目立つものでした。
以前はガメラとよばれ、緑色の迷彩でした。

◆教訓として
航空宇宙に携わってきた私からすると、宇宙ステーションであれ、ロケットであれ、戦闘機であれ
全ては特別なものではありません。全ては常識や日常の考え方で設計・製造・運用がされています。
墜落の原因はいまだ不明で憶測を話すこと自体意味のないことです。
しかし、これだけは言えます。高いものは落ちるし、丸いものは転がる。
人間だから見落としや勘違い、思い込みもある。
それらが複合的に絡んだときに事故が起こります。
交通事故から日常の些細な間違い、仕事のミスも全て同じことが言えます。
私も仕事の間違いが多いですが、取り返しの付かないことになる前に
歯止めとなる対策を打って何があっても被害を最小限に食い止めることができる
環境を作っていきたいなと思います。

この事故の原因が正しく解明され活かされることを願っています。

 


2022/2/17 飛行教導群の墜落事故について思うこと